さねすり岩と澳比古神社

0澳比古神社_5662
     Photo0 澳比古神社

赤城山 銚子の伽藍と乙女の滝   Appendix

さねすり岩

歌碑にあった蜀山人の句をその場では読み取れなかった。
1さねすり岩歌碑_5600
     Photo1 大田南畝(蜀山人)の歌碑

写真に撮っては見たがやはりよく解らない。そこで蜀山人・さねすり岩をネットで調べてみると
   さねすりの 岩をまたぎて
     紅つつじ
       ふもとの茶屋の
         たぼのゆもじか
蜀山人       と書かれているとのこと。
さねすり岩を跨ぐように咲いている赤いツツジは麓の茶屋の若い女性の湯文字のようだ   
と解してしまうとまるで面白みなし。わざわざさねすり岩で詠んだのだからもっと意味深長な艶っぽい内容なのだろう。
若い女性の湯文字だからいつも見えているわけではなく何かの拍子にちらりと見える。
従ってさねすり岩を跨ぐときに紅色のツツジの花のようなものがちらりと見えるとでも解釈すればよいのか?
古文が苦手だったので朧気にしか意味が解らない。勝手に解釈して楽しむのが本来の面白みであろう。
蜀山人が活躍した江戸時代、農村部ではまだまだ湯文字を使用することがまれだったので女性が仕事で腰をかがめたりすると陰部が丸みえになったそうだ。
写真では解りにくいがさねすり岩とは大岩全体ではなく本来は通過する大岩の割れ目に入るときに跨ぐ小岩のことらしい。
2されすり岩_5599
     Photo2 さねすり岩

ちょっと試してみたが小岩を跨ぐ際には岩の隙間が狭いので体が横向きになり丁度股間に小岩の尖りが来る。今よりも体格が小さく無防備だった当時では微妙ところに当たることがあったのかもしれない。
3さねすり部分_5601
     Photo3 さねすり岩を跨いで見ると

”さね”とは陰核のことなのでおおらかだった昔の人々は小岩を”さねすり岩”と言い慣わしたのあろう。
さねすり岩を越えるとやや岩の隙間が広がり足元も泥で平になって容易に通過できる。よって産道と呼ばれるのか。
理科系老人、疑問は実験実証にて確認のこと今だ衰えず。
さねすり岩があるつつじが峰通りは登山口が数箇所あり、かつては赤城山頂の赤城明神への参詣古道だったという。麓の三夜沢の赤城神社と大沼湖畔の赤城神社を繋ぐ道でもあった。参詣の老若男女が岩を通過する様を見て蜀山人も句に読んだのか?

澳比古神社
大猿公園を出てすぐのところに澳比古神社の鳥居があり林道(参道)を進むと社がある。
境内にある神社の由緒記によれば性信仰の性神が祀られているとのこと。社の中を覗き込めば男女の性器のオブジェが並んでおり、それぞれ男根石は比古(ヒコ)神、女陰石は比売(ヒメ)神として祀られている。
1812年にそれまで祀られていたご神体が大洪水で押し流されたという伝承があったが、近年の保全林整備事業の折に大猿川で行方不明になっていた神体が発見され改めて祀ったらしい。
女陰を刻んだ比売神のご神体には表面に赤い着色があったがフラッシュを使った写真では見えなくなってしまった。
4比売神_5667
     Photo4 比売神 わずかに赤い着色が残る

しかし表面の文様ははっきり認識できリアルそのもの。男根を模した比古神のほうは新しいもののようだが、参拝者に向かってご立派!5比古神の命_5675
Photo5 比古神

ご神体流失が1812年、蜀山人が1749年生まれで1823年没であるから蜀山人が当所を訪れ、さねすり岩の句を詠んだ時、おそらく今よりは着色鮮やかだったご神体を目にしたであろう。
いろいろな山に登っていると、麓や山中あるいは山頂に在る祠で性信仰のご神体にお目にかかることがある。圧倒的に男根を模した金精様のほうが多いので育てる畑よりも種が無ければ何も始まらないと考えていたので男根オブジェの陽形が多いのか?それとも崇拝対象としての造形しやすさからか?などと思っていたら
日常生活に密着した竃の神様”かまど神”は女性で、そのかまど神を喜ばせるために男根を模した陽形のオブジェを奉ったようだ。
性信仰といい句碑といい、今では人目をはばかるような性に関する事物に対し、キリスト教西洋文明が入ってくる以前の日本人は今よりはずっとおおらかだったようだ。

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Re: 昔はおおらかだったんですね

コメントありがとうございます。茅ヶ岳の女岩を眺めたことがあります。今は先を巻くように登るようでが大切な水場ですよね。
昔から登らられていたところには同じようなところがたくさんあるようです。道標がないような時代、誰が見ても一目でわかるわかりやすい目印だったのでしょう。

昔はおおらかだったんですね

当地から良く見える茅ヶ岳にも「女岩」があり、いつも水が流れる、この山唯一の水場。
名の由来は、その類の話のようです。
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