戸隠 西岳 本院岳

Photo0 早朝の鏡池からの本院岳と戸隠山八方睨
記録
日程:2015,05,26 Nさん、安田
5/26日 天候 晴れ
コースタイム:鏡池(6:13)→西岳登山口 (6:19)→沢渡渉点(6:39~6:57)→天狗平(7:53)→熊の遊び場(9:45~9:50)→P1:弁慶岳山頂(11:14~11:24)→西岳山頂(12:10~12:15)→本院岳山頂(12:50)→板倉清水:鎖切断点(13:58~15:15)→八方睨(16:41~16:53)→百軒長屋(18:02)→奥社(18:47)→随身門(19:01)→鏡池(19:27)
行程15.4km 累積標高2178m
ルートマップは ここ です。
先日でかけた穂高周辺は例年に無く残雪が少ないとのことであった。そこで北アルプス方面の情報を集めてみるとやはり今年は残雪が少ないらしい。そこで普通なら6月になってから入山するという戸隠西岳もそろそろ雪が消えかかっているのではと思い出かけてみた。
西岳のP1尾根から登るか、戸隠奥社からにするか検討を重ねた結果、体力を消耗した下山時に一般道を下った方が良いであろうということで西岳登山口から入山。
楠川に降り立ってみると雪解けの増水で靴を履いたまま渡れそうになく、しかも登山道を辿ったのでは3回も渡渉が待ち受けているので躊躇していると相方のNさんさすがに沢や、ためらうことなく靴を脱ぎだした。幾分水流の弱そうなところを狙って渡渉し、

Photo1 沢を渡渉
対岸に上がってからはブッシュ混じりの急登をトラバース気味に登りつめ、地形が平坦になってきたところで登山道を目指し水平移動。朽ちた下枝が散乱した植林帯を抜けると天狗平の採草地で登山道に合流することが出来た。

Photo2 天狗平の採草地で登山道に出る
ここからは登山道を歩き高度を稼いでゆくと1530m付近で最初の鎖場が登場。

Photo3 途中の展望地から本院岳ダイレクト尾根を見る
ここからは岩場や泥付きの急登を鎖に頼って登ることになる。幸い残雪は無く、快調に登ってゆくと無念ノ峰への登りでアンカーが取り付けられた岩が崩落し鎖に宙吊り状態になっていた。

Photo4 アンカーごと崩落した岩。鎖でぶら下がっている。
鎖に荷重をかけないように登り無事通過。今度は無念ノ峰からの降りで枯れ木を跨いで鎖に取り付き、少し下がったところで鉄ハシゴに乗り移る難所が出現。

Photo5 無念ノ峰からの下降。木を跨いで鎖をつかみ、鉄ハシゴに移る
ここは事前情報をつかんでいたので難なく通過した。蟻の戸渡りのナイフリッジを通過し切り立った不帰ノ峰へ岩場を鎖に頼って登り、

Photo6 不帰ノ峰へ鎖を使って登る
泥付きバンドのトラバースや鎖場を何回か繰り返すうちに正面の岩にペイントで描かれた矢印が現れ、漸く第一峰のピークについたことが解る。

Photo7 P1を示すペイント。この上がP1弁慶岳
ここからはアップダウンを繰り返して稜線上を進むが雪が消えた登山道の両脇にはシラネアオイが咲き乱れ花街道の様相を呈している。

Photo8 片側は絶壁、片側はシラネアオイの花街道
とはいっても細い登山道の切り立った稜線上であり一歩間違えれば岩壁の下への転落となるので気を抜くことができない。彼方の後立山は靄で霞み谷筋の残雪と稜線ぐらいしかわからない。西岳山頂からはこれから進む本院岳への稜線が見渡せ、

Photo9 西岳山頂

Photo10 尾根の先には黒姫山
本院岳から麓の鏡池に向かって延びているダイレクト尾根の様子も良く見えるので地形把握にはもってこい。ここでどうやら麓から見て本院岳と思っていたのはダイレクト尾根のP1836だったことに気づく。西岳山頂から初めは本院岳を右に見て、進みやがて道が曲がって正面に本院岳が見え出すと長い鎖で降下する西岳キレットのコルに到着。

Photo11 西岳キレットのコルに降る
キレットを過ぎまばらな低潅木と笹に覆われた斜面を登ってゆくと本院岳山頂に着く。本院岳からは切れ落ちた絶壁上の稜線に沿って進むが数箇所残雪があり、

Photo12 北斜面の登山道に残雪が現れ始めた
残雪の先は笹のブッシュになっていてところどころに絶壁下への雪の落ち口となっているところもあるので思わず緊張する。
やがて登山道がヘアピン状に折れ曲がる板倉清水に差し掛り所々に雪が残った泥斜面を鎖で降り始めるとアンカー2ピン目でチェーンが切断されているのを発見。
上から見た限りでは繋がっているように見えたが・・・・・。泥斜面を下に落ちずに残っていたので遠目では繋がっているように見えた。さらに先は雪に埋まりどうなっているのか解らない。切断した鎖をたぐると雪の中から抜けた鉄棒のアンカーが鎖についてきた。
どうやら雪に流されて鎖が切れたようなので鎖同士を繋げて降ってもその先がどうなるか解らない。雪面を降ったはいいがデブッた雪の末端が笹をなぎ倒しているため、登山道の続きが発見できるかどうか懸念されたので一度は戻ることも考えたが、いままで越えてきた崩れかかった泥バンドの通過、下山距離、それに暗くなってからの渡渉のリスクなどを考えここを通過することを決断。
持参している30mロープを出し、鎖に頼らずなるべく高い位置でブッシュに逃げ込めば、笹を手がかりに進むことが出来そうなので、生き残っているアンカーと立ち木を利用し3ピッチで急斜面を道がありそうなところを目指してトラバース気味に下降した。
降ってみると予想通りの場所にピンクテープを発見し、急斜面での藪コギをせずに無事登山道へ復帰することが出来た。

Photo13 鎖が切断した泥付き急斜面を振り返る
鎖切断箇所を通過するのに思わぬ時間をとってしまったがヘッデンを使う前に下山できるだろうと思い、あせらずゆっくりと足を進め八方睨で十分休憩を取り、

Photo14 八方睨

Photo15 西岳方面を振り返る

Photo16 高妻山
たのしみのしていた蟻の塔渡りは安全を期して巻き道を利用、

Photo17 八方睨から見た剣の刃渡と蟻の塔

Photo18 百軒長屋
どうにかヘッデンを使うこと無く下山できた。

Photo19 P1尾根・西岳・本院岳のシルエット
30mロープがあれば殆どのことに対応でき、ヘデッデン、ツェルト、ガス、バーナーは持っているだけで使わずともいつでも対応できるという心理的な安心感が冷静な行動にむすびついた。Nさんはピパーグを覚悟したらしいが・・・・・
下山してみれば想定時間にトラブル対応時間を加えただけで無事下山。
下山後、鎖切断の件と場所を警察に通報。その後警察からの連絡では遭対協が6月初めに修復することになったとのことであった。